運営法人の統合を目指している岐阜大(岐阜市柳戸)と名古屋大(名古屋市)は21日、両大学による大型研究拠点の整備や教育の相互補完などについて合意した。これまでは、共同で設立する運営法人「東海国立大学機構(仮称)」の傘下に入ることによる経営の効率化などを強調してきたが、新たにまとめた「統合のメリット」で研究分野での連携や共通科目の実施にも踏み込んだ。
統合に向け、両大の幹部が出席する検討協議会の2回目の会合が岐阜市吉野町の岐阜大サテライトキャンパスで開かれ、統合メリットとして▽研究力の強化▽教育力の強化▽国際化の推進▽社会連携の推進-の4項目を挙げた。研究費や知的財産の管理、産学連携を共同で行ったり、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)に関する教育を共通化したりする具体的な構想も明らかにした。
会合後、名古屋大の松尾清一学長は「効率化だけでなく、大学の機能を広げる。両大学がこの地域を変える中核的な力になる」、岐阜大の森脇久隆学長は「研究力、教育力を強化し、大学のブランド価値を上げていく」と語った。
今後も月1回程度、会合を開き、年内の最終合意を目指す。2020年度に新運営法人を設立したい考え。松尾学長は「両大学の構成員に協議内容を理解してもらった上で、次へと進む確実なステップを取りたい」と強調した。北陸地域の国立大にも検討内容を情報提供し、新運営法人への参加を呼び掛ける。
大学の運営法人の統合は全国初のケース。法改正が必要となるため、近く国への提言をまとめる。
岐阜新聞社
2018.5.22
道教育大附属函館小学校2年の小笠原煌(こう)君(7)が、高校卒業程度の力が求められる日本英語能力検定(英検)の2級に合格した。煌君は「うれしくて感動した」と会心の笑みを浮かべている。
煌君は幼稚園年中から市内の英語教室に通い、年長で5、4、3級に、今年2月に準2級に合格。「2級は低学年のうちに取れれば、と思っていた。まさか一発で受かるとは」と目を細める。
覚える単語の量が格段に増え「一気にたくさん覚えるのが大変だった」と振り返る。テキストに書かれている日本語の意味や漢字の読み方が分からない煌君のために、母の幸美さんが振り仮名を振りながら毎日勉強。二人三脚で合格をサポートした幸美さんは「準2級の比ではないほど頑張った」と努力をたたえる。
一次試験の筆記は85分間あるが、煌君は50分で解き終わり、じっくりと見直しができたという。課題の文章についての考えをまとめるライティングも自分の意見を回答。得意のリスニングで点数を上乗せし、11月中旬の二次試験に臨んだ。面接は3級、準2級と経験したことで「それほど緊張しなかった」。同27日に合格発表があり、インターネットで幸美さんが合格を確認。煌君は「おじいちゃん、おばあちゃんが喜んでくれたのがうれしかった」とほほ笑む。
次のステップ、準1級受験については「受けたい気持ちはあるけど、壁は2級の3倍高い。3倍以上勉強しないと受からない」と気を引き締める。
函館新聞電子版
6日午前11時半ごろ、東京都文京区小石川にある東京学芸大付属竹早小学校の3階理科室から出火した。
児童らは屋外に避難し、けが人や逃げ遅れなどは確認されていない。東京消防庁のポンプ車など約20台が出て消火活動に当たっている。
現場は、東京メトロ後楽園駅から北西約900メートルの学校や大学などが立ち並ぶ地域。
国立大学の付属校が「エリート化」し、本来の役割を十分に果たせていないとして、文部科学省の有識者会議は29日、学力テストではなく、抽選で選ぶことなどを求める報告書をまとめた。学習能力や家庭環境などが違う多様な子どもを受け入れ、付属校での研究成果を教育政策にいかしやすくすることが狙いだ。2021年度末までに結論を出すよう、各大学に求めた。
国立大の付属校は本来、実験的・先導的な学校教育を行う▽教育実習の実施▽大学・学部の教員養成に関する研究への協力――といった役割を担う目的で設立された。だが、「一部がエリート校化し、教育課題への取り組みが不十分だ」などの指摘が出ていた。また、学校現場で教員の新規採用が減る一方、発達障害や外国人の子の支援へのニーズなどが高まり、有識者会議は国立の教員養成大・学部の改革と一体で付属校のあり方を検討してきた。
報告書では入学の際に学力テストを課さず、研究・実験校であることについて保護者の同意を得て、抽選で選考することや、学力テストが選考に占める割合を下げることを提案。同じ国立大の付属校間で、無試験で進学できる仕組みにも見直しの検討を求めた。「多くの学校に共通する課題と対応策のあぶり出しが重要だ」とし、教員の多忙化解消などで付属校が先導役になることも求めた。
文科省によると、国立大付属学校は現在、幼稚園49、小学校70、中学校71、高校15など計256校あり、約9万人が通っている。
■有識者会議が国立大付属校に求める主な改革
・学力テストを課さず、抽選など多様な選考を実施
・同じ国立大付属校間の無試験の「内部進学」などを見直す
・教員の多忙化解消などで公立校のモデルをめざす
・30~40年の長期間の教職生活を視野に、教員の研修機能を強化
・2021年度末までに結論をまとめ、できるものから実施
朝日新聞社
国立大学の付属学校と聞いて、どのようなイメージを浮かべられるでしょうか。文部科学省は現在、国立教員養成大学・学部の改革の一環として、付属学校の在り方の見直しも論議しています。一部で進学校・エリート校などと指摘されている国立大学付属学校の在り方が今後、大きく変わる可能性もありそうです。
教員養成系の国立大学の付属学校は現在、全国で56大学に合計258校(幼稚園49園、小学校72校、中学校73校、中等教育学校4校、高校15校、特別支援学校45校)があります。その役目は、▽教員養成のための教育実習の場▽実験的・先導的な教育課題の研究の場▽現代的教育課題に対応した教員養成に関する研究への協力の場……と位置付けられています。
これに対して、「教員志望者の実習は公立学校でもできる」「研究もほとんど役に立たない」「実際には教員養成学部との間に連携が取れていない」などの批判が出ています。また、大学の学部以上に多くの教職員を抱えていることもあり、財務省などには予算削減の立場から、付属学校を廃止すべきという主張も根強くあります。
しかし最大の問題は、やはり一部の幼稚園や小学校が、いわゆる「お受験」の対象となったり、一部の中学校や高校が進学校・エリート校となったりして、私立有名校と並ぶ受験競争の対象となっていることでしょう。
文科省は、「国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議」を設置して、教員養成学部と同時に、付属学校の見直しの検討を始めています。議論の中では、付属学校の現状について「エリート校・進学校化しており、その存在意義が見えない」「地域の公立学校などをリードする指導的・モデル的な学校になっていない」「地域とのつながりが薄い」などの強い批判が出されています。
一方、文科省は、国立教員養成大学・学部には付属学校が必要という立場から、廃止するという意見には反対しています。このため、見直しの方向として浮上しているテーマの一つが、「教員研修学校」への転換です。教員志望者が公立学校などでも実習している現実を踏まえて、付属学校を現職教員の長期研修の場としたうえで、特別支援学校教員免許など教員が保有していない免許を取得したり、先進的な教育の研修をしたりする場として位置付けるという案です。
また、障害の有無にかかわらず子どもたちが同じ教育を受ける「インクルーシブ教育」や、「中1ギャップ」「小1プロブレム」「幼小連携」など、公立学校では難しい校種をまたがる問題を研究する「教育研究開発学校」の役割を強化するほか、地域貢献機能の強化として、共働き家庭の子どもが入学できる学校へ転換する案なども議論の対象となっています。
いずれにしろ、受験校・エリート校という在り方が見直されるのは確実でしょう。これから国立大学付属学校がどう変わっていくか、有識者会議の議論が注目されるところです。
※国立教員養成大学・学部、大学院、付属学校の改革に関する有識者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/077/index.htm
(筆者:斎藤剛史)
ベネッセ 教育情報サイト