小学受験「面接で見られるのはむしろ親」?


大学、高校、中学……と、それぞれのステージで行われる受験。どの試験も子どもの意思や能力を問うものだが、小学受験に関しては親の影響が大きいようだ。

 6月まで放映されていたドラマ「マザー・ゲーム」は、「保活」に敗れたシングルマザーが、小学校受験に熱心な親が集まるブランド幼稚園に息子を通わせるところから物語が始まる。

 保険会社に勤める女性(37)も、3歳まで長女(10)を認可保育所に預けることができず、預かり保育がある幼稚園に何とか滑り込んだ。そこの母親たちの話題の中心が小学校受験や塾。

「地元の小学校に通わないという選択肢もあるんだ」

 女性は埼玉から都心に通勤しており、「小1の壁」に悩んでいた。長女が地元の公立小学校に入学したら、自分は長女が登校する前に自宅を出なければならない。私立小学校は母親が専業主婦ばかりだと思っていたが、働く親にも門戸が開かれていると知ると、心が揺れた。

 中学校受験を避けたいという思いも強かった。夜遅くまで塾に通う小学生のために「塾弁」を作り職場を中抜けして届けたり、車で送迎したりするのは、自分には無理だ。休日も塾やテスト漬けで、親子で遊べる時間がなくなることにも耐えられそうになかった。 無理なく合格できるなら――。 塾には入らず習い事もせず、受験対策は自宅で取り組むドリルだけ。受けるのは自宅に近くて校風が気に入った1校のみ、と決めた。地元の公立小学校の就学前健診を受けた時、「どの小学校にもテストがあるみたいね」と長女に伝え、私立が不合格でも挫折感を与えないように気を配った。長女は無事合格。朝は一緒に家を出て同じ電車に乗り、学校の最寄り駅でバイバイするのが日課になった。PTA活動もない小学校で、高校まで心穏やかに過ごさせることができそうだ。

 小学校受験は「親の受験」とも言われる。子どもの意思や学力はほとんど関係なく、親の学歴・能力・経済力が、合否に大きく影響するとされるからだ。

「子どもの能力に大きな差はなく、学校が面接で見ているのはむしろ親」(花まる学習会代表の高濱正伸さん)

「世帯年収で1500万円は欲しい。1千万円でも学費は払えるが、私立小学校に進学させる家庭の生活レベルは高いため、その後のお付き合いがしんどくなります」(ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん)

 畠中さんによると、これに加えて塾代が100万円ほどかかる。親の面接があるためスーツも揃えなければならず、何かと物入りだ。

AERA 2015年7月27日号より抜粋